脳出血で倒れたあと、私は新しい目で世界を見ることになりました。
それまで何気なく使っていた服や家具、道具-。
いざ自分の体で使おうとしたとき、「これでは使えない」と気づいたのです。
いや、正確に言えば、「誰でも使えるようには作られていない」ことに気づかされました。
会社概要
協力

平成26年(2014年)
2月26日 午前2時頃:お風呂場で倒れる。
2月26日 明け方:手術を受け、脳出血(左被殻出血)と認定される。
4月頃まで:2月の入院から、この期間の記憶がない。
5月頃:右手・右足は一生動かないと言われる。
5月頃:ベッドで寝たきりの状態で、尿も一生自発的に出ないこと言われる。
7月頃まで:「何を言っているのかわからない」とよく言われていた。
8月頃(1日目):自分から尿管カテーテルを外してほしいと希望するが、排尿できず再装着。
8月頃(2日目):再び外すことを希望し、今回は自発的に排尿ができた。
8月頃:カテーテルが外れたことで体に動きが出始め、車椅子から杖への移行を試みる。
8月末日:退院。
9月頃:自発的に1日数歩から歩く練習を始め、徐々に歩く範囲が広がっていった。
平成27年(2015年)
春頃:以前いた会社に、パソコン関連の要員として出社するようになった。
令和5年(2023年)
夏頃:父親が亡くなったことをきっかけに、「自分のやりたいことをやろう」と決意した。
令和6年(2024年)
それまで何気なく使っていた服や家具、道具。「これでは使えない」と気づいたのです。合同会社「月と人と」を起こす。
と、かっこよく書きましたが、要は気づいたのです。
この世の中は、五体満足で健康な人が主役になっているということに。
右手が効かない人、耳が聞こえない人、目が見えない人、
殴りたくないのに人を殴ってしまうような人たちなど――
そういう人が過ごしにくい世の中だということに。
とある人が、福祉用具のカタログを見ながら言いました。
「これ、全部使えるやん」
でも、私はこう尋ねました。
「じゃあ、載っているモノが君の家にあったらどうなの?」
「それを自分が使うなら、そういった物でいいの?」
そう聞くと、その人は黙ってしまいました。
もちろん、福祉用具に書かれているものはとてもよく考えられているし、素晴らしいものばかりです。
けれど、色はピンクや青が多い。
全体的に「鉄」っぽい。
本当に自分がそれを使って幸せなのかを考えた時、健常な人なら山のように選べる色や形が、私たちにはほとんど選べない現実に気づきました。
「なんで僕らは、この福祉用具の中でしか物を選べないんだろう」そう思ったのです。
だから、私は「月と日と」を起こしました。
別に偉そうなことでもなんでもありません。
ただ、少しでも過ごしやすい世の中にしたい。
その思いだけです。
皆さん、よろしくお願いいたします。
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