
介護と事務の仕事を経て、似顔絵の道へ
今回、DARESHiMOGAでご紹介するのは、「ももの似顔絵」として活動している似顔絵師のももさんです。
ももさんは、もともと介護福祉士として高齢者の介護に携わり、その後は事務の仕事をしていました。事務の仕事を辞めた頃、数か月にわたる検査を経て、線維筋痛症と診断されました。
長時間同じ姿勢でいることが難しく、日々の生活の中でも痛みと向き合っています。そんな闘病をきっかけに始めた似顔絵は、今年で5年目を迎えます。
現在は、大切な家族への贈り物や、特別な日の記念になる似顔絵を制作しています。依頼する方の想いを丁寧に聞き、その気持ちを一枚の作品に込めることを大切にしています。
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)
全身や広い範囲に強い痛みが続く病気です。痛みは筋肉や関節など、体のさまざまな場所に現れます。そして、その痛みの場所や強さは、毎日同じとは限りません。日によって変わることもあれば、一日の中でも変化することがあります。また、台風や低気圧、気温の変化などの天候、睡眠不足、疲れ、激しい運動、感染症、精神的なストレスなどによって、症状が強くなることもあります。
痛みだけではありません。疲労感や全身のだるさ、頭痛、しびれ、睡眠の問題、めまい、動悸、集中力の低下など、さまざまな症状を伴うことがあります。
人によって症状や程度が異なるため、「線維筋痛症」と一言でいっても、そのつらさは一人ひとり違います。
そして、線維筋痛症の大きな特徴の一つが、外見からは症状が分かりにくいことです。元気そうに見えても、強い痛みや疲労を抱えていることがあります。そのため、「見えない病気」ともいわれています。
検査をしても明らかな異常が見つからないことがあり、診断までに時間がかかる場合もあります。
祖父への想いを綴った、一枚の似顔絵
ももさんが「大切な人に想いを伝えること」を、似顔絵師として届けたいと考えるようになった背景には、昨年、お祖父さまを亡くした経験があります。
「大好き」「ありがとう」
心の中にあったその言葉を、十分に伝えられなかったことが、後悔として残りました。
どうにかして、想いを伝えたい。その気持ちから、葬儀まであまり日がない中、ももさんはお祖父さまの似顔絵を描きました。そして、その絵の中に伝えたかった想いを綴り、出棺の際に棺へ納めました。
この出来事が、似顔絵を通じて届けたいことを、あらためて見つめるきっかけになりました。
大切な人へ想いを伝えられる時間には、限りがあること。心の中で想っていることを言葉や形にして、相手が生きているうちに届けることの大切さ。
自身が感じたその想いから、ももさんは「想い伝わるメモリアル似顔絵」を届けるようになりました。


支えられてきた日々から感じた、感謝を伝える大切さ
闘病生活の中で、ももさんは、たくさんの人に支えられていることへのありがたさを感じる瞬間があったといいます。
身近な人の存在や、日々受け取っている支え。その大切さを感じることと、お祖父さまとの別れを経験したことが、現在の制作への想いにつながっています。
大切に想っているからこそ、いつか伝えようと思うことがあります。近くにいる相手だからこそ、照れくさくて言えない言葉もあります。
けれど、伝えられる機会が、いつまでも続くとは限りません。
自分の絵を大切な人への贈り物に選んでくれた方には、想いを伝えられなかったことを後悔してほしくない。ももさんは、そんな気持ちで一枚一枚を大切に描いています。
描く前に、贈る人の想いに耳を傾ける
ももさんが制作にあたって大切にしているのは、依頼する方の気持ちに寄り添った、丁寧なヒアリングです。
誰に贈りたいのか。どんな日に届けたいのか。どんな想いを伝えたいのか。その背景を聞きながら、依頼する方と一緒に作品をつくっていきます。
同じ誕生日のお祝いでも、贈る相手との関係や、伝えたい言葉はそれぞれ違います。家族への感謝、パートナーへの愛情、大切な人の健康を願う気持ち。一枚の似顔絵の向こうには、その方だけの想いがあります。
「いつもありがとう」
「大好きだよ」
「これからもよろしくね」
普段は言葉にしづらい気持ちも、似顔絵を贈ることで伝えるきっかけになるかもしれません。
ももさんは、そのきっかけを大切にしながら、贈る方の想いが相手へ届くよう、心を込めて制作しています。
(この画像は、下のお写真をもとに作成したものです。上の画像と下のお写真を見比べてご確認ください。)


お祝いにも、忘れたくない思い出にも
ももさんが描くのは、特徴を誇張しすぎない、透明感のあるデジタル似顔絵です。その人らしさを大切にしながら、丁寧に描いています。
敬老の日、結婚記念日、誕生日、ウエディングなど、さまざまな節目のお祝いを手がけています。また、亡くなった大切な方を偲ぶ似顔絵や、家族の一員であるペットの似顔絵も制作しています。
お祝いしたい気持ちも、思い出を残しておきたい気持ちも、大切な存在を想うところから生まれるものです。
想いを込めた一枚を贈ることで、その気持ちが、大切な人の手元に形として残り続ける。ももさんは、似顔絵のそうした価値を大切にしています。
これまでに描いた人数は、累計600名以上。一人ひとりの依頼に向き合いながら、制作を重ねてきました。
「届けてよかった」と思ってもらえる一枚を
線維筋痛症と向き合う日々と、似顔絵を描く日々。その両方が、現在のももさんの暮らしにあります。
人に支えられるありがたさや、大切な人を亡くした経験から感じてきたこと。それらが、「想いを伝えることの大切さを届けたい」という、活動の軸につながっています。
目指しているのは、贈った方に「届けてよかった」と思ってもらえる一枚です。
DARESHiMOGAでは、作品とともに、その作品を描くももさんの経験や、制作に込められた想いをご紹介したいと考えています。
大切な人への気持ちを、伝えられるうちに届ける。その一歩に寄り添い、想いを形にするももさんの活動を、ぜひご覧ください。




